「俺の可愛い妹をよくも泣かしてくれたよな!」
紅葉まで愚痴っぽく言っていた。
でも何も言えなかった。
二人共本当に友達だからこそ言ってるんだなって思ったから。
それにしてもサトルさんもかっこいい。
紅葉と神谷には負けるけど、赤茶っぽい髪の毛が良く似合っている。
とても爽やかで穏やかな顔だ。
コンビニから十五分程歩いて神谷の家に着いた。
何回も深呼吸したけど
やっぱり緊張するし気まずい。
「ただいま~」
紅葉はもう慣れたのだろうか、何の躊躇いもなく家の中へと入って行った。
サトルさんは私の方へ向くと「声出さないでね」と、イタズラに笑った。
なんだか良い事なのか悪い事なのか、神谷を騙してるみたいで複雑。
静かにリビングの扉の側に立ち、私を見えないように二人が部屋へと入って行った。
「おい、何寝てんだよ!楓は泣いてんのに、呑気に昼寝か?」
紅葉が神谷をからかうように言っているのは分かるが
中が見えないからどんな状況か分からない。
「寝てないよ。
何で来なかったの?」
ドキンとした。
神谷の私に対する質問に。
でも
その声は
凄く弱々しかった。
ドキン と ズキン が同じくらいで胸が鳴る。