思わず目を見開いて立ち止まったけど、今しがたすれ違った男子生徒は既にクラス表前の人ごみに紛れてしまっていた。



「………。」



聞き間違えかな……と、再三足を進めて教室に向かう。



奇跡なんか起こるはずがない。



そう、思っていた。