3学期。野球部員達は、部活の合間を縫って横断幕作りに励んでいた。
あたしも、昼休みなどを使って、草太とミナと一緒に陵雅さんへの想いを込めてメッセージを書く。
陵雅さんに見つからないように、慎重に。
陵雅さんは無事に受験を終え、後は結果を待つだけになった。
合否に関係なく、陵雅さんはお母さんと共にこの街を離れると言った。
寂しいけど、陵雅さんが決めたことだ。
あたし達は、応援しなきゃね。
時間って、なんてあっという間なんだろう。
陵雅さんは、みごと大学合格。
あんなに必死に勉強してたんだもん、当たり前だ。
野球部員達は陵雅さんの送迎会を終え、陵雅さんはとても嬉しそうにしていたと言う。
陵雅さんは泣きそうになっていたけど、やっぱりみんなの前では泣かなかったんだって。
草太からそれを聞いた時、なぜがあたしが涙を流してしまった。
陵雅さんは、ずっと好きだった人。
離れるのは辛いよ……。
卒業間近のある日。
部活に向かう途中の廊下で、陵雅さんに会った。
同じ学校にいるのに、会うのはすごく久しぶり。