「陵雅さん」
修学旅行が終了して、翌週。
月曜日に登校したあたしは、真っ先に陵雅さんにお土産を渡しに行った。
朝登校してすぐだったのに、陵雅さんの教室を覗いたら多くの先輩が参考書を広げ勉強していたので、驚いた。
あたしが陵雅さんを入り口から手招きして呼びだすと、気難しい顔して参考書と睨めっこしていた陵雅さんに少し笑顔が戻る。
「あの、これ……。
たいしたものじゃないですけど、修学旅行のお土産です」
あたしは、廊下で小さな亀のストラップの入った袋を渡す。
「おー、サンキュー。
わざわざ俺にも買って来てくれたの?」
嬉しそうに袋の中を覗き込む陵雅さん。
よかった……。
普通に話せてる。
フラれたけど、何も変わってない。
「もちろんです。陵雅さんにピッタリだと思って買いました」
あたしがニヒヒと笑ったと同時に、陵雅さんが袋から亀のストラップを取り出し目の前にぶらつかせた。
「おー。可愛いじゃん」