夏休みに入ると、一段と暑さが増してあたしは干物のように水分を奪われていった。
だからと言って、体重が落ちたわけじゃないから、この暑さにイライラする。
今年コンクールに出場しない吹部は、夏休みの間数えるくらいしか練習がない為、あたしは毎日毎日部屋でごろごろしてヒマな時間を過ごしていた。
試合が終わった野球部でさえ、頻繁に練習してるのに……。
今日も昼過ぎに目覚めたあたしは、スマホ片手にベッドに横になっていた。
こうやってゴロゴロしてても仕方ないし、どこか出かけてみようかな……。
あたしは暑さと寝過ぎで重たい体を起こし、クローゼットから適当なデニムのスカートと白のTシャツを引っ張り出し着替えて外に出た。
うるさく合唱するセミの鳴き声に耳鳴りがして、アスファルトからモアモアと上がる熱気で思わず気を失いそうになる。
どうしてこんなに暑いの……?
毎日毎日雨も降らずにこんなに晴れ続けたら、そりゃ干物にもなるわ……。
あたしは首筋から溢れだす汗を、Tシャツの袖で拭った。
見上げた青空には、大きいけどとても軽そうな入道雲が浮かんでいる。