「わー!!もう!!ちょっと草太!
なんで水たまり避けないの?足に泥かかったじゃん!!」


「あ、わり。
ていうか、文句言うなら歩いて学校行けよ」


幼なじみの草太のこぐ自転車の後ろに横向きに座りながらあたしが不機嫌に言うと、草太はチッと舌打ちをして眉を寄せあたしを振り返った。


彼の短めの黒髪が風に弄ばれ左右に激しく揺れる。


あたしもセミロングの黒髪を耳にかけ、スカートのポケットの中からスマホを取り出した。


ジメジメと制服の白シャツが肌に張り付く、気持ち悪い感覚の、梅雨に入ったばかりの朝。


朝から蒸し暑いし、汗や湿気で肌がべた付くし、気分が沈むことしかない。


あたしが朝からイライラしているのは、この湿気のせい。


ああ、気分上がらない。


何かテンションの上がる情報はないかと、スマホをいじる。