しばらく歩いていると微かに月の光が差し込んできた。
「出口……」
よし、今日はそろそろ帰ろう。
そう思ったとき、ふと月の光が
何かにさえぎられた感じがした。
……人影?
背後に誰かいる。
「……なあ、
俺と遊ばねえ?」
後ろから聞こえる、いかにも
ナンパの定番であろうセリフ。
振り向くとそこには明るめの茶髪に
金のメッシュが所々入っている男…
高校生か、それ以上?
整ってる顔に、少し着崩しているスーツ。
ホストですといわんばかりの外見。
「今、欲求不満なんだよ。」
普通の女の子なら、逃げるか…固まるか。
けど生憎、私にそんな可愛らしい部分は
存在しない。
「……それって、私が必要ってこと?」
あくまでも冷静に、淡々と。
すると一瞬彼は少し目を見開き
「そうだな。」
彼も淡々と答えた。