廊下にいたギャラリーが騒ぎ出し、あれよあれよという間に人だかりが出来ていく。
エイジは廊下側に背を向けているから見えないだろうけど、抱き締められている私には廊下側が丸見え。
中には泣き出す子までいて、私は憎悪に満ちたいくつもの視線をひしひしと感じていた。
さっきまでは心地良いと思っていたけど、今はもういたたまれない思いでいっぱいで。
「とにかく、離れて」
早くこの場から逃げ去りたかった。
これ以上注目を浴びるのはごめんだ。
エイジファンの女子から嫌がらせを受けようもんなら、とんだ勘違いもいいところだもん。
「そんなに俺が嫌い?」
ジタバタする私をものともしないように、エイジはさっきと同じ口調で言った。
「そ、そういう問題じゃなくて…とにかく、ここ教室だし、私の立場ってものを考えて」
わわ、舌打ちまで聞こえて来た。
どうでもいいから、早く離れてよー。