別にそれが悪い事だとは思わないし、偏見だって持ったりしない。
恋には色んな形があっていいと思う。
水無月先生は若くてイケメンだし、女子生徒からもかなり人気がある。
好きになるのもわかるけど、敵はエイジじゃないような。
それにエイジが水無月先生と仲良しだから図書室に来るなって、それはちょっと間違ってると思うんだよね。
キラキラ眩しい笑顔を振りまく有明君を見ていると、王子様には変わりないけど少しイメージが崩れて残念な気持ちになった。
今まで勝手に王子様っていうイメージを作り上げて来て、想像と違ったからって幻滅する私も所詮同類だけどさ。
だけど有明君には永遠に王子様のままでいて欲しかった。
汚いところや嫌なところは見せないで、ただ皆の憧れの存在であって欲しかった。
それこそ私の勝手なわがままだけど、アイドルに憧れる一人の女子でいたかったのも事実。
王子様も一人の男だったってわけね。
なんだか、好きなアイドルが結婚発表した時のような物悲しい気持ちになった。
ふと視線を感じて廊下の方を見れば、エイジが窓枠に寄り掛かるようにして私を見ていた。
「あ、ほら水沢が佐竹さんの事見てるよ。行ってあげたら?じゃあね」
そう言うと、有明君はさっさと前の扉から出て行った。