声に聞き覚えはないし、こんな事をされる覚えもない。
といえばウソになる。
知らない間になにかをしてしまったのかもしれないし。
だけど、自分が誰かに恨まれているなんて思いたくなかった。
「誰が開けるかっつーの!自分がした事考えろよ!」
「きゃはは、だよねぇ」
私がした事?
明らかに敵意を抱いているのがわかる声に頭を捻る。
「人違いでしょ!」
ここまでされるほどのことをした覚えはないんだけど。
「うっざ!行こう」
「だよねぇ、うざすぎ」
「ちょ、待ってよ!こんな事してただで済むと思ってんの?」
「知らねぇよ」
その言葉と舌打ちを最後に、彼女達の気配は完全に消えた。