「ウソでしょ……ありえないんだけど」
少し冷静になろうと扉に背中を預けて倉庫の中に身体を向けた。
不安に高まる鼓動を落ち着かせるように、ぐるりと中を見渡す。
体育の授業で使うマットや跳び箱。
部活で使用するバスケットボールやバレーボールにネット類。
他には良くわからない物ばかりで、体育には関係のなさそうなものまである。
っていうか、なんで凧があるの?
こんな物、必要ないでしょ。
その時、扉の向こう側から微かに人がいる気配を感じた。
「あはは、ざまぁみろ」
「いい気味ー」
扉の向こう側から聞こえるクスクスと嘲笑うかのような声に思わず眉根を寄せる。
ざまぁみろってなに?
私に恨みを持ってんの?
「ちょっと、開けなさいよ!」
負けじと強気でそう返す。
恨みがあったとしても、正々堂々と勝負を仕掛けて来るならまだしも、こんな事許されない。