もし私がこの人の立場だったら、一緒につるんでる人には知られたくないかも。
ましてや異性の友達に知られるなんてごめんだ。
それを考えると、今こうしてラブレターをもらった事を暴露した自分がいけない事をしているような気になった。
「誰からか教えろよ、面白そうだし」
ヘラヘラ笑うエイジ。
片方だけ見える八重歯が、イタズラな笑顔に拍車をかける。
どうしてあんたに教えなきゃなんないのよ。
この人はきっと他の人に知られたくないはずで、だからわざと名前を書かなかったに違いない。
エイジめ。
人の気持ちを面白そうだとか言っちゃって。
「やっぱり後で見る。差し出し人が書いてあったとしても、誰にも教えない」
「えー、つまんなぁい!」
ぷっくりほっぺを膨らませるエマ。
見た目は大和撫子で清楚だけど、中身が少々きつくて思った事をズバッと言う性格の持ち主である。
おい、つまんないってなんだ。
つまんないって。
最近面白い事が起きないからって、私に刺激を求めないで欲しい。