「あれ?」
普通なら封筒の裏に差し出し人の名前を書くもんだよね。
だけど、裏を見ても名前は書かれていなかった。
「どうしたの?」
私の小さな呟きにエマが機敏に反応し、再び覗き込んで来る。
漆黒のサラサラストレートの髪が頬に優しく当たった。
透き通るような白い肌は、女の私から見てもドキッとさせられる。
「名前が書いてない」
「ほんとだ」
手元を覗き込みながらエマが小さく呟く。
「中見た?もしかしたら中に書いてあるのかも。封筒に書くと、色んな人の目に止まるし」
ノブが最もらしい事を言った。顔を少し傾けて言うその仕草は乙女並みに可愛い。
「そっか、そうだよね!」
私がこうしてこのメンバーとつるんでいる事を知っている人なのだとしたら、知られたくないって普通は思うよね。