「私……?」

「お前が高野と仲良くしてたらモヤってしたりするし。……ったく、なんなんだよ」



名良橋君はバスタオルで顔を隠し、自棄になったように吐き捨てた。

私が高野君と話してて、モヤ?

それは……、



「……何だろね」

「だろ」

「……て言うか、取り敢えず上がりなよ。ココア淹れようと思ってたんだけど、ココアでいい?」

「あぁ、サンキュ」



名良橋君を部屋へ通し、キッチンへと向かう。

お気に入りのマグカップにココアを淹れると、テーブルにそれを置いた。

名良橋君はココアを横目に見てから、それまでに見ていた場所に視線を戻した。



「……なぁ早坂」

「何ー?」

「早坂が倒れたのって、ただの貧血だったよな?」

「そう、だけど……」