“お前、全然わかってねーよ”

“ほんと、何もわかってねー……”

名良橋君の、あの言葉の意味を。

あのキスの意味を。

どれだけ考えたって、わかんないんだけど。



「……名良橋君の、馬鹿……」



キスは、嫌じゃなかった。

だけど、こんなに悩む自分が嫌。

名良橋君にあんな顔をさせた自分が、嫌だよ。



名良橋君を好きになった私。

梨央さんのことを大切にしてた名良橋君。

名良橋君のことをずっと想ってた梨央さん。

名良橋君の幸せを願ってる高野君。

それぞれの想いが、擦れ違ってるのかな。

気まずいまま残りの時間を過ごすのは……苦しいよ。



「名良橋君と、もう一度笑い合いたい……」



好きになってほしいなんて言わない。