「それに俺も仕事が忙しくてなかなか相手してあげられなかったからな」


利一さんは悔やんでいるんだ


「この時期になると毎年、花歩はあの時の出来事がフラッシュバックするらしくて体調を崩し不安定になる」


“それに気づいたのも引っ越す前だったんだけどな”とゆっくり話していた


「昔の出来事があるから“誕生日に何が欲しい?”と聞いても黙ったまま。」


よっぽど花歩にとってはショックな出来事だったのだろう


「花歩のことを受け入れてくれた奏哉だからこのことを話したんだ。ダメだったか?」


「いいえ。ダメじゃないです。寧ろ話してくれてありがとうございます」


また、花歩のことを知れた


「俺じゃ、どうして良いか分からなくて困ってたんだ」


利一さんは落ち着かせる為にケーキを一口食べてコーヒーを啜った