「さて、兄貴も居なくなったし話そうか…」


「どうして花歩は誕生日間近になると苦しそうな顔をするんですか?」


さっきから利一さんの言葉が頭から離れなかった


「それはね、俺達が離婚したのが花歩達の誕生日だったからだよ」


……離婚した日が花歩達の誕生日?


「俺は“せめて2人の誕生日を祝ってから”って言ってたんだけど、元妻は意地でも別れたかったらしいんだ」


懐かしそうに話す利一だけど、何処か苦しそうだった


「アイツは子供の誕生日より俺と別れることを優先したんだ」


一呼吸して再び利一さんは話し出した


「誕生日って1年に1度の大切な日だろ?」


それもそうだな。


「でも、花歩にとっては憂鬱でしかない。離婚した時は花歩達も小学生である程度分かってたからな」


花歩は今までどんな思いで過ごして来たのだろう