「あなた達が別れたのも知ってたわ。悠介から聞いたから」


「じゃあ…」


「それからね、呪文のように花歩ちゃんの名前を唱えてたわ」


琴美さんは一呼吸して話し出した


「花歩ちゃんの辛さに気付かなくてごめんなさいね」


「相談しなかったあたしも悪かったから。でも…」


花歩は我慢していた涙が溢れ出したようだ


琴美さんは花歩を優しく抱きしめた


「今まで我慢してた分、泣きなさい。」


「本当は言いたかったの。だけど、“言ったら殴る”って言われたから言えなかった…」


「花歩ちゃんは悪くないわ。悪いのは悠介」


「それに、悠介はあたしじゃなくて知歩が好きだったんだよ。」


「だから、知歩ちゃんに会えないはらいせに花歩ちゃんを殴ったりしてたのね?」


琴美さんの問いかけに素直に頷いた花歩