そして、花歩が抱きしめてくれている温もりが心地いい


俺が求めていたものだ。


「花歩、ありがとな。」


「ううん。あたしの方がいつもお世話になりっぱなしだからあたしに出来ることをしただけだよ」


やっぱりコイツは優しいんだ


ニコッと微笑んでくれたその笑顔にホッとする


花歩は抱きしめてくれたまま話し出す


「知歩からの手紙に何て書いてあるかは聞かないから安心して?知歩と奏哉にしか分からないからさ。奏哉の中だけに秘めておいて。」


そういうと更に強く抱きしめてくれた


……なあ、知歩?


聞こえますか?


俺は新しい恋をしたかもしれない


いや、新しい恋をした


初めて見た時から好きだったのかもしれない


ただそれを認めたくなかった


それは何故か…


俺が恋をした女の子は知歩の大事な妹だから。