「じゃあ、桜のチョコ作りの腕は、お父さん直伝なんだねぇ」


とケーキを再び口に入れながら言うと、桜はふと真顔になった。


「――――なぁ、お前、俺が魔法使いみたいだって言ったよな」


「?うん」


「...そっか」


嬉しそうに笑った。


「俺がな、ショコラティエになりたいって思ったのは、親父みたいに、魔法が使えるようになりたいって思ったからなんだ」


へぇ...じゃあ、もう使えてるじゃん。


桜はもう、魔法使いだよ。


「桜なら、きっとなれるよ」


「そうだな」


その魔法で、たくさんの人をチョコレートで幸せにできるよ。