桜はうつむいて、黙りこくった。


「...桜?どうしたの?」


顔を覗き込むと、桜の顔は薄く赤く染まっていた。


「――――...俺も」


「え?」


「俺も、思った」


桜は柔らかく笑って、



「はじめて、親父がチョコレートを作ってるのを見た時、魔法みたいだって、思った」



じゃあ...その頃の桜も、こんな気持ちだったのかな。


まだ、ドキドキが止まらない。