「哲也さん?!
何処行くですか?!」

「美雪ちゃんに市内案内してもらうから」

「俺は?!」

「雄祐はウザイから弥生ちゃんと一緒にいな」

「えっ?!」

「じゃーなー」

哲也たちは美雪のガイドで市内を観光しに行った。

店の駐車場で2人きりになった弥生と雄祐は近くの海が見える公園へと行った。

雄祐と弥生は静かにベンチに腰を下ろした。

「夕陽、キレイだな」

「うん・・・」

「弥生」

「ん」

「俺、弥生の気持ち、わかってるようで、わかってなかった」

「雄ー・・・」

「でも、弥生が離れてくれたおかげで、俺自身が強くなれた」

「そうー・・・」

「ありがとうな」

「うん・・・。
私も雄にありがとうって言わなきゃね」

「えっ?」

「私ね、雄に教えられたよ。
自分が人のことを大切に思えるってことを。
今まで、私にとっては当たり前だった。
でも、雄を通して、それが出来ない人たちが多いってことを知った。
そのことを痛感した時、正直、辛かったし傷
ついた。
でも、雄の思いがその人たちに伝われば、少なくとも、そう思わなくなるかもしれないって思ってた。
でも、それは私だけの思いで甘かった。
やっぱり、現実はそんなに甘くないね。
雄には自分自身の思いをちゃんと叶えてほしいと思ってる。
だから、私は、雄の元には戻らないし、戻れない。
それが私の正直な気持ち」

「弥生ー・・・」

「雄の思いに答えられなくてごめんね・・・」

「俺は絶対に自分の思いを叶えて弥生との未来を共にきずく!!
俺は何があっても歌い続けて弥生の思いを叶えたい!!
それが今の俺に出来ることだから!!」

「雄ー・・・」

「俺は前の俺とは違う。
俺だって弥生と離れて、いろんなことを思いしらされた。
その度にメンバーやファンが俺のことを必死に思い支えてくれた。
その思いに、今、俺は答えられる」

「雄、強くなったね」

「そうーしてくれたのは弥生以外、誰がいるんだよ?
俺は弥生しか愛せない男だから。
それ以外なんて俺は考えられない。
てか・・・
考えたくもねえー。
俺は、弥生じゃないとダメな男なんだよ。
弥生じゃなきゃ、満足することも満たされることも愛されてる実感も感じねえーんだよ!! 感じさせてくれるのは弥生だけなんだ。
こんな不器用な俺を愛せる女は世界中何処探しても弥生1人だけなんだよ!!
俺は弥生がなんと言おうとも弥生の手をずっと離さず握ってる。
弥生がイヤがろうがなんだろうが、俺は弥生と一緒になる!!
俺は弥生に何を言われようがどう思われよが、俺の気持ちは貫く!!
それが今の俺だから・・・」

「雄ー・・・」

「俺はどんなことがあっても弥生をあきらめない!!」

「雄ー・・・」