「きぃやぁぁあっっ──!」


わたしの叫び声がマンションの301号室、つまりわたしの部屋に響きました。

大家さんに怒られちゃうパターン、ですね。


「何叫んでんの、柑夜」

「な、夏樹ィ。ケーキが……」


ひょいとキッチンに顔を出した夏樹くんはもうとっくに坊主頭はやめています。


呼び方が今さらだというのに変わったのは三年前。

彼が中学三年生の時。


「にーちゃんと同じくん付けは嫌だと(何とも可愛くて仕方がないことを)言われたからでした。


「ケーキが?」

「──爆発した」

「は⁉」


えへ、と可愛らしく微笑んでみました。

あ、すみません。

誤魔化しきれる訳ありませんよね。


「ふ、ははっ! さすが柑夜」

「さすがって酷くない⁉」


思わずため息が出ます。