「あんただって・・・次席のくせに」



「だから、何?」



「うざいっつってんの!」



「・・・黄崎サンって、意外と子供ー」



「!!」



~~この男!

あたしはいつのまにか、握っていた拳にさらに力を加えた。
そのイライラの根源の男は、あたしの真横に立っている。


そう!コイツこそが架翠学園現次席、瀬永 唯(セナガユイ)。

深いブラウンの髪をチラつかせ、へらへらとした空気を纏っている、くえないヤツ。
入学式であたしが学年主席挨拶を行い、もう2ヶ月経とうとしている今でさえ、あたしとよくぶつかり、波長がまったく合わない。


そして、加奈がさっきあたしに話そうとしていた“ゆー君”とは、もちろんこの男のことだ。


さらに個人的に気に食わない点も、コイツには数多く存在している。



「あたしに一々話しかけてくるのやめてくれる?腹立つんですけど?」



「ハッなに言ってんの?一々突っかかってくるのは、黄崎サンじゃん」



瀬永唯は、おかしいのだ。
毎日行われる小テストの点だって、毎回98点。

クラスの奴らだって、わざと一問間違えてるんじゃ・・・?と、瀬永唯のことを疑い始めているくらいに。

しかも授業だってほとんど参加しないし、遅刻魔だし、・・・ほんっと、なに考えているかわからない!


それなのに、顔とルックスだけはピカイチって、どーいうことよ!!



「ごめん、瀬永唯の声を聞いてると、耳がおかしくなりそう」



「黄崎サンといると、バカが移りそうだな」



「は?」



「そうそう、あー言えばこー言うところとか、本当に子供っぽいな。顔はいいのに、残念だね」



次席がなにを言うか!!


こいつ遠まわしに、オマエよりも俺のほうが頭良いし、って言いやがった。
あたしはそんな余裕かましてるところが大嫌いだ。



あの静かだった図書館は何処(イズコ)へ、瀬永唯が来たことによって、口論の戦場と化した。


あたしはここにいるのは疲れるだけで、得策ではないという考えに、口論の末辿りつき図書室を出てクラスに戻ることにした。

腹立つ!