原田と永倉が新撰組を脱退することが決まった。
一ヶ月後新撰組を出るらしい―‐
暑い夏から秋に代わり始めていた時だった。
二人は新撰組に疑問を抱いていた。
原「俺達は幕府ではなく京の町を守りたかったの出はなかったのか」
永「…」
原「新撰組が間違っているとは言わない。だが俺は納得がいかないんだ」
永「お前が羨ましいよ…」
原「…?」
原田は永倉がいった意味が分からなかった。
「本当に行くんですか?」
永「あぁ…」
永倉と原田が脱退する日が来てしまったみ
原「大丈夫だってまたすぐ会える」
「…はい」
永「俺たちはここが嫌いになった訳じゃない。だが誠の心を裏切れないんだ…」
悲しそうな永倉を見て美桜はいった。
「誠の心を持つ限り仲間ですよ」
永「美桜ちゃんにはいつも負けるな」
原「だな」
「そうですか?」
永「あぁ…」
原「あっ、土方さん頼んだぜ。」
永「自分の気持ちを大切にするんだぞ」
「はいっ」
永倉と原田は自分の歩む道へと旅立った―‐
美桜は二人の無事を願っていた―‐
慶応四年 四月―‐
「近藤さん、いるか?」
土方が近藤の部屋に入ってきた。部屋にいた近藤と美桜は土方が厳しい表情をしていてこれは良からぬことがおきたと悟った。
「何があったんだ。トシ」
「敵に囲まれている」
「…っっ」
確かに兵に囲まれている。
「近藤さん、俺がここを守っている間に逃げてくれ」
「いや私がいこう」
「「「…っっ?」」」
「それはできない」
「局長の命令でもか?」
命令と言われて土方は渋々承知した。
「土方さん行きましょう」
横にいる斎藤が促す。
「…あぁ」
「美桜ちゃん、みんなを頼んだよ」
最後の近藤の言葉は悲しげでなぜか寂しく思えた。
「はい。命に変えても」
「命にはかえなくてもいいよ。自分を大切に。」
「はい。必ず」
**局長side**
お前らに生き残って欲しい…
お前たちなら本当の武士になれる
そう信じている
お前らは生きろ―‐
とし、最後までごめんな。お前に新撰組は任せた。あとは頼む。
お前らを信じている―‐
逃げる途中敵方の浪士にあった。
土「お前らは先に行け」
浪「「「はいっ」」」
「…」
仲間が答えて走り去っていくなか私は動けないでいた。
土方は浪士をどんどん斬っていく。
土「美桜、お前も先に行け」
「…」
二人しかいないこの空間がざわめく
「その…めいれいは…ききません」
土「なに?」
「貴方のそばにいたい」
あなたを失いたくない…その言葉が出る前に美桜と土方は一番近い距離にいた。
土方が美桜を抱き締めていたのだ。
土「お前は俺から離れるな。ずっとそばにいてくれ。お前を失いたくないんだ。」
自分が言いたかったことを土方が言ってくれた。
自分と同じことを考えていると思うと嬉しかった。
土方の抱き締めた手は大きく力強く感じた。
「私はあなたをおいてどこにもいかない」
もう空は茜色に染まっていた。
その時、声が聞こえた気がした。
「とし」
はっきりと力強い近藤の声だった。