あたしは最後まで謝ることが出来ず、呆然とその子を見つめた。
「なによ。そんなに見ないでくれる?」
そう言ってにらんでくるのは、集会で目を逸らされてしまった春佳と言う女の子だった。
あたしの予想では、篤樹の彼女なんだと思う。
「あの日さぁ、あたし篤樹とデートしてたわけ」
手を洗いながら喋る春佳ちゃん。
……あの日って……あたしが奥原朔に襲われかけた日……?
てか、デートってことはやっぱり彼女なんだね。
「なのに、いきなり篤樹が走り出してさぁ……あんたなんかを助けるためによ?」
フッと力なく笑った春佳ちゃんは蛇口を止めてあたしを見つめる。
「でも、篤樹は渡さないから」