「でも、そう言われたし」


またジュースを飲もうとするあたしに、霞が不思議そうな顔で言う。



「知紗、キスしてきた相手に笑ったの?」

「ブッ!!」


あたしは間一髪で霞にジュースをかけることはなく、ちゃんと手で押さえて防いだ。



「き、汚いわねー!……まさか、知紗も心を許してるから?」


霞の言葉に驚いて、ジュースを吹き出しそうになった。


……そんなことない。


心の中で否定してみたけど、言葉を発することは出来なかった。


霞ってば……変なこと言わないでよね!



「ちょっと、手洗ってくる!」

「まだ話は終わってないわよ!」


そんな霞の声に聞こえないフリをして、廊下へ走った。