「そっか、イヤか……」 その声にあたしは無言で頷く。 「知紗ちゃんまさか、恥ずかしくて呼べないわけ?」 「ゴホッ、ゴホッ!」 また喉にケーキが詰まりかけた。 「ち、違うから!ただ……」 「じゃあ、呼んでよ?」 ただ男の名前を呼びたくないの!って言いたかったのに、言葉を遮られて言えなかった。 「だから、イヤだって言ってるでしょ!」 それでも、また断る。 「あれ?やっぱり……」 ニヤッと意地悪そうに微笑むヤツ。