「おぉぉおー!」
駅前から少し離れた場所にひっそりと佇むケーキ屋さんに、あたしのテンションが上がる。
こんなところにケーキ屋さんがあったんだぁ……!
「知紗ちゃん、気に入った?」
お店の前で、隣にいる井岡篤樹がニコッと笑いながら尋ねてくる。
「うんっ!お店の雰囲気がすごく素敵!」
あたしも笑顔で答える。
もう、キスされたことへの怒りもすっかり忘れて。
だってね、ケーキ屋さんなのに、ガラスケースの中には可愛いぬいぐるみが飾ってあったり、看板はオシャレだし、ふわっとケーキの甘い香りも漂ってくる。
「……ん?どうかした?」