「あたし帰ります」


クルッと身体の向きを変える。


この人物騒だから、早く帰んなきゃ!



「まだ言うか……」


そんな小さな声が聞こえた時には、強く手首を引っ張られていて……。



「えっ……!」


気づいたら、井岡篤樹の顔がすぐ近くにあった。



「お望み通り、塞いでやるよ」


そう言って、妖しく口角を上げたヤツから逃げることは出来なくて……。



「んっ!?」


ヤツの唇によって、あたしの唇が塞がれてしまった。