それより……この井岡篤樹が朝よりカッコよく見えるのは、なんでだろ……。
とにかく、カフェの前まで戻って来れたあたし。
「……ありがとうございました」
あたしはペコリと頭を下げて、お礼を言った。
モデルの奥原朔に迫られたって、嬉しい女の子ばっかりじゃない。
あたしは冷や汗と、ついでに鳥肌も立っちゃったんだから。
ホントに怖くて、どうしようもなかったから……。
助けてもらえて嬉しかった。
「いーえ。知紗ちゃんがあいつに襲われたりなんかしたら、ウチの学校のやつらが怒るからな」
井岡篤樹はそう言って楽しそうに笑う。
なぜか、その笑顔にドキドキしてしまう。
……怒る?