逃げようにも背中に当たっているのは冷たいコンクリートで、目の前には奥原朔。
「俺といいことしよっか?」
奥原朔の顔がゆっくりと近づいてくる。
い、イヤだ!
どうしよう、怖い。
鳥肌が立ち、恐怖で涙が出そうになる。
「イヤッ……!」
抵抗しても状況は変わらない。
男の力には適わないってこと……!?
「……っ!」
逃げ場がないあたしは、横を向いてギュッと目をつぶる。
すると、フッと笑い声が聞こえて思わず顔を戻してしまった。
ハッと気づいたときには、もう顎を手で押さえられていて……。
……き、キスされる!
「なーに、こそこそやってんだよ!」