8月半ば、夏休みも終盤を迎える頃。



「あ~……会いてぇなー……」


無意識に出てしまった言葉に、ハッとして周りを見渡した。


カラオケの受付フロア。

自分ひとりしかいないことを確認して、ホッと胸を撫で下ろす。



「会いたい、って彼女?」


……と思ったら、からかうような口調が背中に向けられた。


この声は……。



「先輩。聞こえてたんすか……」

「うん、バッチリね」


ふたつ年上の大学生で、髪を明るい茶髪に染めたチャラい先輩。

実は、中学の頃のサッカー部の先輩だったりもする。