「ぎゃあっ!」 家を出た途端、色気のない悲鳴を上げたのはあたし。 その声と共に鈍い音。 ウチの家は、普通の歩道に面して建っているから きっと、歩行者の人にぶつかっちゃったんだ…… 「す、すいませ……って篤樹!」 顔を上げて謝ろうとしたら、視界に入ったのは久しぶりのカレ。 「知紗!……あ、そっか。ここ、知紗ん家だったな」 驚いたかと思えば、意外に冷静な篤樹。 ………じゃなくて! 「遅刻しちゃう!」