「……へ?」
あたしが間抜けな声を出した瞬間、首辺りに腕が回され、ついでに腕も掴まれて立たされる。
「えっ、な……なに……!?」
霞は驚いたように、目を丸くしている。
驚いている間に、ズルズルと引きずられる。
……力、強過ぎる!
な、なんだかヤバい予感……。
ってか、男に触れられてるって時点で鳥肌が立つ!
恐怖が込み上げ、血の気が引いていく。
あたしは最後の望みを賭けて、
「霞~!」
と、手を伸ばして助けを求める。
霞は慌てたように椅子から立ち上がったけど、まだ呆然としていて追い掛けてきてくれない。
「知紗ちゃん、黙ろっか?」
でも、その耳元で囁かれた言葉に恐怖を覚え、手を引っ込める。