『あー海に行くって話か。それ、魁斗から聞いたな』
その日の夜。
初めて、あたしから篤樹に電話を掛けてみた。
ドキドキとうるさい心臓を押さえながら、あたしも口を開く。
「あたしも今日、聞いたばっかりなんだ。10人って多いよね」
『………』
少し笑いながら言うと、篤樹からは沈黙が返ってきた。
「え、あの……篤樹?」
『……あぁ、悪い。誰か数え忘れてんのかと思って』
数え忘れ?
あたしが一瞬黙り込むと、篤樹が続けて話した。
『俺と知紗、霞ちゃんと魁斗に…湊斗先輩と彼女、奥原と彼女…』
確認するようにつぶやく篤樹。