「またね!」

「あぁ、またな」


駅の方向へ歩いていく篤樹を見送る。

次会えるのは夏休みに入ってからかな……?


そんなことをぼんやりと考えていたら、篤樹が戻ってきているのに気付いた。



「どうしたの?忘れ物?」

「ん、忘れ物」


そう言ったわりには家に入ろうとしないな……

と、思っていたら。



───チュッ


ほんの一瞬、唇が触れた。



「……じゃあな」


何事もなかったかのように、また来た道を戻っていく篤樹。



「───……え」