「知紗は、お父さんが浮気をして出ていったと思ってるの?」


───ドキッ

図星をつかれて思わず、胸が高鳴ってしまった。



「それは、違うのよ」


───違う?

何が、違うのよ……っ



「違う?じゃあさ、お父さんからにおった甘ったるい香水は何?」


今でも覚えてるよ。

あれが、何よりの証拠だ、って。


あたしの問い掛けにお母さんは、一切顔色を変えることなく

先程の笑みを浮かべた。



「その香水のにおいはお母さんも知ってるわよ?」


………え?