「知紗ちゃん」


一瞬花火が静まった時、誰かに名前を呼ばれた。

霞に似てる、凜とした声……。



「……南さん」


南さんの姿が目に入った瞬間、湊斗先輩の告白を思い出して、なんとなく気まずくなる。



「知紗ちゃんといないってことは、霞……魁斗といるのね」

「あ……はい。今頃2人で見上げてるんでしょうね…」


あたしはふと空を見上げた。

ちょうど、小さな花火が上がっているところだった。


合同の後夜祭だから、彼氏彼女と見るって人は多い。

霞の顔も珍しくニヤけてたし。



「……いいなぁ」