自分の気持ちに正直になるのが怖いの……。
この儚くて淡い想いが溢れるんじゃないか、って……。
あたしは男なんて嫌い……なのに。
あたしがなかなかステージに上がらないからか、ふい意に篤樹が話しだした。
『そこでいいから……聞いて』
ドキッ。
あたしの思いとは裏腹に、高鳴ってしまう心臓。
篤樹の表情は、優しくて、どこか甘くて……。
すごくドキドキする。
「マイク回ってきたけど」
横から霞がボソッと言ったと同時に、あたしの手にマイクを握らせる。
……マイク!?
「とにかく、今は聞いたら?」
「え……あ、うん」
このマイクで……返事をしろってことか。