「ヤバいーっ!」
遅刻しちゃうよ~!
なんて思いながら、教室まで続く廊下をバタバタと走った。
ガラッと勢いよく教室のドアを開ける。
「知紗、おはよ」
汗だくのあたしにニコッと微笑む親友、飯田霞(いいだかすみ)。
「まだ先生来てないから、大丈夫よ?」
あたしの前の席である霞が、後ろを振り向いてそう言った。
霞は中学からの親友で、すごく頼りになる存在。
今日も黒髪ストレートが眩しい。
「よかったぁ……てか、聞いてよ!」
あたしは机の横に鞄を掛けた後、机をバンッと叩く。
……あんなことがなかったら、こんなに慌てて学校に来ることなかったんだから!