「ここにいますよ!」
そして、大きな声でそう言ってしまった。
それはもう……マイクを使っているかのような大声で。
『ではステージの方まで来……』
『来なくていいよ、知紗ちゃん』
司会者の人の言葉を遮ったのは、他でもない湊斗先輩。
『俺が伝えたかっただけだから。返事はいらない』
湊斗先輩はそう言うと、あたしに向かって微笑んだ。
……伝えたかっただけ……。
そう言われて、あたしはホッとしてしまった。
それはたぶん……湊斗先輩の想いに、応える自信がないからだろう……。
南さんのことが気になるし……。
まだはっきりしたわけじゃないけど、南さんは湊斗先輩が好きなんだよね。