篤樹には、心を許してしまいそうな自分がいるんだ……。



「あのさ……井岡篤樹くんなら、あそこにいるけど」


ずっと黙っていた霞が、控えめに口を開いた。


霞が言う“あそこ”とは告白大会の時に使われるらしい台の横。

小さなステージになっている。



「アイツ……もうスタンバってるじゃん」


フッと笑った平塚くんは、篤樹がいる方へ歩いて行ってしまった。



「ふーん……決着、ねぇ……」


霞の方を見れば、ニヤけ顔が目に入ってきた。



「な、なに……?なんか知ってるの……?」


さっきから、霞の意味深な笑顔が怖いの!