「姉ちゃん!」 ふいに千尋の声が聞こえた。 「あれ?もう朝練終わったの?」 「さっき終わった!悪かったな、わざわざ学校まで……」 すでに制服に着替えている千尋。 「今度からは気を付けなさいよ」 あたしは姉らしくそう諭して、お弁当を手渡す。 「ほーい。……ってか姉ちゃん、なんで井岡(いおか)先輩といるんだ?さっきは奥原朔もいたみたいだし」 お弁当を手にしたままなんとも間抜けな顔をする千尋。