さっき校門でぶつかった男だ。
あたしも悪かったけど、謝りもしない非常識男!
「誰ですか?あなた」
つい眉間にシワが寄ってしまう。
早く学校に行きたいのに……。
ここに長い間いるなんて耐えられないのに……!
「ふーん…百合丘女子にまだ俺のこと知らない女がいたのか」
なにコイツ自意識過剰?
あたしは今日初めてお見かけするんですが。
「うわ、ヤベッ」
突然、慌てたように、この場から姿を消した奥原朔。
……?
とにかくここから離れたい!
「よく分かんないですけど、あたしはもう失礼します」
ったく、朝からなんなの?
あたしは千尋にお弁当を届けに来ただけなのに。