「知紗ちゃん、引き止めちゃってごめんね?明日のためにも、今日はもう帰った方がいいわ」
南さんはそう言って、ニコッと微笑んだ。
「……はい」
あたしが気にすることじゃないかもしれない……。
きっと……そうだよね……。
「知紗ちゃん、明日楽しみにしといて!……じゃあ、また明日!」
げた箱へ向かうあたしの背中に、湊斗先輩の声が届く。
「……はい、失礼します」
ブンブン手を振る湊斗先輩に思わず笑ってしまって、それを隠すように慌てて会釈をした。
明日はいよいよ体育祭……。
会いたくない人にも、会わなくちゃいけないんだ……。