「けっこうです」
あたしはバッサリ言い捨てて、次はグラウンドに足を向ける。
と、その直後、奥原朔とは別の男の声が聞こえてきた。
「うわ、さすが秦野知紗!奥原朔でさえその扱いかよ」
……はあ?
今あたしのフルネーム呼んだヤツ誰……?
あたしの足がまたピタリと止まった。
「秦野知紗ちゃん。ウチのガッコじゃ有名だぜ?」
そう言ってニッと口角を上げるソイツは……。
綺麗な茶髪、少しつり目で大きな瞳、スッと通った鼻筋、細身の長身。
ムカつくほどにカッコいい。
下手したら奥原朔よりカッコいいんじゃない?ってくらい。
……それに。