「な、に言って……」


あたしが動揺している間に、どんどん距離を詰めてくる奥原朔。



この前のことを思い出して、焦りだす。


またなにかされるの!?やだ……!



ガシッ。



「へっ?」


掴まれたのは、あたしの左腕。


手首には、お気に入りの腕時計をつけている。



「お前、バイト何時に終わる?」


あたしの腕時計をじっと見る奥原朔。


あたしも腕時計に視線を落とす。



「え……もう6時!?あっ、終わりだ!」


だいたいは閉店の19時まで働くんだけど……。


今日はその……いろいろ疲れたから、早く上がらせてもらうんだ。