「ん、悪かったな……」
篤樹はそう言うと、そっと離れた。
「あたし、戻るね」
これ以上篤樹と一緒にいたら、ダメな気がする。
篤樹から返事はなく、あたしはグラウンドへ足を向ける。
強引だったり、やけに優しかったり……。
あたしは篤樹が分かんない。
……ってか、そもそもこんなに篤樹のことを考えてるのがおかしいよね。
たかが抱き締められて、キスされただけ。
篤樹にとっては、誰にでもしているあいさつみたいなもんなんだ、きっと。
無理やりそう思わないと、あたしはアイツのことばっかり考えちゃうんだ……。
あたしは頬をペシッと叩いて、グラウンドへ走った。