「やっぱ中庭には人いねぇな……」
中庭に着いて、篤樹がポツリとつぶやいた。
日陰になっている中庭は、風が吹いていて涼しい。
「だからなに……きゃあっ!?」
掴まれていた腕を強く引かれて、ポスッと篤樹の腕の中に入った。
「……なんで、抱き締めたりなんか……っ」
ホントに篤樹って、なに考えてるか分かんない……。
なぜか、強く抵抗出来なくて、篤樹の腕の中におとなしく収まっている。
ダメだ……ドキドキする……。
「アイツにも、笑顔見せてたな」
アイツ?
……笑顔?
「知紗ちゃんの笑顔、可愛過ぎて心配……」
……!?
「なにバカなこと言ってるの……」
そんなこと言うために、わざわざ中庭に連れて来たの?